2000/02/03(土)晴
井の頭報告  

 今日は節分。弁天様に行ったら、ハッピを来た若い衆が散らばった豆をほうきで片づけていた。子供やお年寄りは福豆をおみやげにもらっていた。
 公園内は恒例の「設備改良工事」が行われていて、あちこちに黄色と黒の縞模様の不細工な鉄製のフェンスが立てられている。これじゃまるでタイガースのキャンプ地だ。

 土曜日なので、色々な人がいた。よく見る「顔面紙芝居」は今回は新作をやっていて、なんでも30分の大作だそうだ。この人は近頃すごい人気で、あたりには人だかりが出来ていた。これからTVにもいくつか出るらしい。
 「念仏踊り」というわけの分からない集団もいた。ラジカセでラテン音楽を大音量で鳴らしながら同じ振り付けのダンスを踊っている。中でも、背が高くてよく太った大仏顔の女の人が目立っていた。

 似顔絵描きのじいさんは「ダイキンエアコン」のチラシを見ながら、そこに登場しているビビアン・スーの顔を熱心にコピーしていた。

 冬になるとよく見かける60年代ファッションのおじさんが(今日はベルボトムのスラックス?を履いていた)ギターをポロポロ弾きながら、絵はがきを売っている若者としゃべっているのも見た。顔はにやにやしているが、どうやら「路上で物を売る人間の心構え」について説教しているらしい。若者は非常に困惑しているようだった。昔、竹中直人がTVで似たようなキャラクターを演じていたが(しかもロケ地は井の頭公園だった)、まさかこの人がモデルじゃないだろうな。


 南西の、あずまやの近くのベンチに腰掛けた。空は高く、済んだ水色だ。雲の間に、白い昼の半月が見える。柴の上には先週降った雪がまだ残っていて、晴れた空とは対照的に寒々しい。

 去年ここで会ったちょいとイカレたおじいさんを思い出した。あれきり一度も姿を見ていない。今頃、どうしているだろう。元気だろうか?


 何となく、また会えるような気がして、いつまでもそこに座っていた。





2000/02/08(木)晴
井の頭報告  

 昨日は一日中雨で夜にはまた雪がちらついたが、今日はやっと晴れた。

 公園入り口にあるアイスクリーム屋さん「ドナテローズ」は、改装工事中でお休みだ。ガラス越しに、頭にタオルを巻いて慌ただしく作業する職人さんたちが見えた。
 この店には猫が数匹住み着いている。店の人も客もこの猫たちには寛容なので、いつもは堂々と店内を闊歩し、時には席に座ってのんびりと毛づくろいまでしている。でも今日ばかりは皆そろって入り口の所に座り、恨めしそうに中の様子を覗いていた。

 通りがかった若いカップルが、

男「見て見て、ワシの家に何すんねん、て顔で見とるで」
女「ひゃー、猫さん、えらいこっちゃなー」

なんて話していて、おかしかった。

* * *

 今日は吉祥寺LAOXに行って、昨年購入したデジタルMTR"D12"用のCD-RW、"YAMAHA CRW8824SX"というのを買ってきた。SCSIケーブルと合わせて、22.197円(税込み)なり。マイクやマイクプリアンプも揃ったので、これで一応は自宅で自分の演奏のCDが焼ける環境が整ったわけだ。いい時代になったものである。

 しかし結構大変だ、こーゆー事を始めるとなると。
 夕方に家に帰って来て、CD-RWをイニシャライズしようとして何度もエラーを出し、結局夜中までかかってやっと「イニシャライズしなくてもそのまま使える」事に気が付いた(←ばか)。
 MTRのメーカーK社は純正のCD-RW(4万円もする)を売りたいがために、何かイジワルをしているのだと決めてかかり、意地になったのがいけなかった。

 こんな事でせっかく集めた機材を使いこなせるのだろうか?少々不安である。

 ・・・まあ時間はかかるかも知れないが出来ないことはないだろう。勉強、勉強!

 でもなんでドライブのイニシャライズが出来ないのだろうな。判らないままで、気分が悪いのである。  ここを見ている人でもし同じ機材を使ってる人がいたら、情報交換しましょう。いや、そうじゃなくて、色々教えて下さい。
 




2000/02/20(火)晴
井の頭報告  

 井の頭公園に向かう途中、太い木の棒を振り回して通行人を威嚇しながら犬を散歩させているおじさんがいた。わけがわからない。

 公園の橋の近く、柳の木の所で、木のてっぺんにいる鳥たちに向かってパチンコを打っているおじさんがいた。動物虐待かと思って近づいてみたら、パチンコで打っているのは鳥のエサで、それを空中で鳥が見事にキャッチするのを楽しんでいたのだった。

「あの鳥は何て鳥でしょうかね」「ヒヨドリだよ。ほらな、ひとつも落とさないで捕るんだよ。すげえだろ」「それは豆ですか」「いつもはパンなんだけどな、今日は無くなっちまったからさ。」「パンじゃそんなに高く飛ばないでしょ」「飛ぶんだよ(怒)。こう、こうやってな、よくこねて丸めるんだ」「なるほど」「古いパンじゃうまくいかねえ。新品のパンじゃないとな」「ほほう」「耳んとこはつかえねえよ。」「へえ」「新品のパンをやってるんだよ。嘘じゃねえ」

 話しかけてはみたが、なんだか興奮しやすい人のようだったので早々に退散した。
 




2000/02/26(日)晴
井の頭報告  

 路上でニューオリンズジャズを演奏しているバンドがいた。トランペット、トロンボーン、バンジョー、ウッドベース、それからカズーを吹きながらドラムを叩く人の5人編成だった。見た所みんな結構いい年である。大ハッピーな演奏で、楽しかった。通行人の受けも良いようだ。

 中でも目を引いたのはドラムで、この人は自作の楽器を叩いていた。木の箱に空き缶やらいろんな物がくくりつけられていて、一見ただのガラクタのようだ。運びやすいように箱にはキャスターまで付いている。音色もドンチンカラカラといういかにもガラクタを寄せ集めて叩いた音である。しかしプレイが始まるとこのチープなサウンドがバンドに妙にマッチしているのだ。これは見た目にもとても面白かった。

 柳の木の所にはこの間のパチンコおじさんがいた。怒ったような顔と声で隣にいる人と話をしていた。たぶん本当に怒っているわけではなく、もともとこれが彼の地の姿なのだろう。

 西側の斜面の梅の木は、ちらほらと花を咲かせていた。

 帰る途中、ウグイスを見かけた。「ウグイスあん」の色をしていた。
 



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